『金持ち父さん 貧乏父さん』『バビロンの大金持ち』の読書感想文的な何か

ちょっと前にたまたま書店で『バビロンの大富豪』の漫画版が出てるのを見て、ロングセラーな本なのは知ってるけど、この手の本って一体何が書いてあるのかと興味が湧いてきて読んでみた2冊のお金関係の本の感想を書いてみます。

 

ジョージ・クレイトン『バビロンの大金持ち』(漫画版の原作)

ロバート・キヨサキ『金持ち父さん 貧乏父さん』

 

 

まず『バビロンの大金持ち』

 

とても優しい内容で、

・浪費を抑えてお金を貯める方法

・いい儲け話とダメな儲け話を見分ける方法

・借金の返し方

 

などを古代バビロンの寓話(※1)で伝える本。優しい内容だけれどもこういうのってわかってるつもりでわかってなかったりするし家族間でもお金の取り扱いを取り決めておかないとトラブルの元なので知識の共有のために家族に勧めるのもありでしょう。ロングセラーなのも納得。

http://thediamondsmine.com/files/Ebooks/Clason-RichestManInBabylon.pdf

英語版ならWebで読めます。無料。

 

※1 あくまで古代バビロンを舞台にしたフィクションで、実際のその時代からの古い教えではないところは注意。

 

 

『金持ち父さん貧乏父さん』

グイグイ読めるし面白いけれど、「弱者や知識のないものは強者の食い物にされる」っていうのが新自由主義…ならすごくそんな感じ。あとこの本の主目的は著者のセミナーや、彼の考案した学習用ゲームの宣伝だったのだろうなー等々。

クレイソンの『バビロンの大金持ち』に「まずは自分に支払え=(給料は全部使わず1割は貯金するべし)」っていう格言があるのだけれど、『金持ち父さん〜』の著者はこれを独自解釈していて、まずは収入の1割以上を投資やお金儲けの為の学習に当てろ、投資を優先させることよって多少金銭的に苦しくなっても自分を追い込むことで道を切り開くことができる…余計なお金があったらとにかく投資にぶっこめ!そして増やせ!って感じでなんだかかなり極端。

 

そして引っかかるのはこの本におけるヒーローの「金持ち父さん」が自分の会社の従業員が労働組合を作るのを邪魔した話とか、上場企業が人件費削減のために従業員が大量解雇されても株価は上がるから株主も企業も万々歳だっていう著者の見解(つまり大量の失業者が路頭に迷ってもトレーダーにとっては稼ぎ時でしかないってこと?)とか、会社の名義を利用した徹底した節税…は法律違反ではないにしても、税金を払うことにたいしての著者の強い忌避感とか、みんなさらっと流されるのだけど「それって倫理的にどうなんだ?」って箇所が多々あること。

 

株式投資って倫理的な面はどうなっているんだろう。私は株についてはすごく素朴な部分しか理解していないからわからないのだけれど、サスティナビリティ(持続可能性)とかトレーサビリティー(追跡可能性)とか、エシカル…はそのまま倫理のことだけどこの辺りの考え方って株取引には適応できないのだろうか?

 

『バビロンの大金持ち』に不運から奴隷の身分に落ちた男が、主人であるパン職人の元で懸命に働いて自分の身分を買い戻し再び自由になるエピソードがある。彼はコツコツ貯めた自分のお金で粉を買ってパンやケーキを余分に焼き、自分の自由時間に売りに行くことを稼ぎの何割かを払うという条件で主人に許可してもらう。

副業を始める為にお金を貯めることと主人にそのの許可を得ることが彼の自由になる為の条件なのだけど、これは幸運に彼の主人が話のわかるいい奴隷主だから可能だったことは重要なポイントだと思う。運悪く彼を奴隷として使役し続けたい悪い奴隷主に当たっていたら、副業の許可は出ないし、自由時間もないし、粉を買うだけの余分なお金もない可能性が大。

 

弱く無知である状態に止め置く為に、労働者に余分なお金も時間も与えないっていうのは狙ってのことか偶然かはわからないけれど今も現在進行中で起こっているし、非正規労働とか派遣とかいつ切られるかわからない不安定な仕事っていうのも同じように労働者を弱らせる。

労働者を守る法律が必要ー。この構造とたたかうのってやっぱり労働組合とか市民運動なのかな。

 

すごくとっちらかってるけど…貧富の差がなぜあるのかを説明する本を友人に紹介してもらったので次はそれを読んでみることにします。

ヘンリー・ジョージの『進歩と貧困』

 

貧富の差の原因には土地の所有が大きく関わってるそうですよ。